つらつらと好きなBLコミックについて語るブログです。
内容によってはネタバレを含みますのでご注意ください。

初めて読む作家さんなのですが、
いつものごとく電子書籍サイトで表紙が気になって、試し読みで気になって購入というパターンです。



「home」つゆきゆるこ

ちなみに今回は良いクーポンがゲットできたので、気になった4冊まとめて購入。
その第1冊目です。

表題作と短編2編が収録されています。

シリアス度 ★★☆☆
H度 ★★☆☆

この作家さんの特徴なのか、この作品にそういうテイストのものをまとめたのか、捻くれていてどこか歪んだ、それでいて優しい愛がちゃんと存在する、そんな話が揃っています。

表題作の「home」は、一軒家で一人暮らしをしている小説家の辰巳と澄晴という少年が出会うところから。
最初は澄晴を煩わしく思っていた辰巳がそばにいることに慣れたころに、澄晴が親の転勤で海外に引っ越しすることになる。

「目の届くところにいてほしい」
「絶対に帰ってくるから、この家で待ってて」

辰巳と澄晴の約束は10年の時を経て動き始めるんですけど、辰巳は澄晴に向けて書いた孤独な男が子供に恋をして悲恋に終わる小説を送るんですよね。
自分の気持ちを伝えるのと同時に、きっとこれを読んだら澄晴は帰ってこないだろうと思って。

10年も待ったのに、いざとなると向き合うのが怖くなったんですね。

・・・もう澄晴がこの家に来ることはないだろう。・・・それでいいいんだ。
とひとりつぶやいた辰巳さんが哀しい。

でも、それを読んでなお、読んだからこそ時が来たら一目散に辰巳のいる家に帰ってきた澄晴。

まだ何も言ってないのに勝手に終わらせるな!と。
子供の頃のまま泣きながらまっすぐにぶつかってくる澄晴。
お互いに気持ちが通じていたことがわかって、ハッピーエンド。

かと思いきや、10年会ってなかったのだから辰巳が大きくなった澄晴にとまどうのは当たり前。
澄晴から見る辰巳は多少老けた?くらいで、昔のままかもしれないけど。

澄晴が食事をあーんして食べさせようとすると、
「介護は必要ない」っていう辰巳と「もっと甘い発想してよ」という澄晴のやりとりが微笑ましい。

成長した澄晴に未来を歪めてしまったのではと不安になる辰巳と、成長した自分より子供だった自分の方がよかったのだろうかと不安になる澄晴。

でも、今はそばにいるから、ちゃんとふたり想いを伝えあえて・・・
まあ澄晴も若いから暴走はするよね。それを優しく受け入れる辰巳。

ちゃんと恋人同士になったふたりに、次に訪れるのは嫉妬。
お互いの他の人に見せる知らない顔に、知らない過去に。
みっともないとこをお互い見せ合って、でもそれがふたりでいるということ。

これからは辰巳の家じゃなく、ふたりの家で一緒に暮らしていくんですね。
このふたりの何気ない日常をまだまだ見ていたい気持ちを残し、物語はジエンドです。

さて、この後に収録の2編。
「せまいせかいに」は「下衆BL」に、
「ENDRESS WELCOME BACK」は「屑」アンソロジーに収録された作品とのことで、
どちらも歪んだ愛なのですが、嫌いじゃないです。
ふたりだけの、ふたりだけにしかわからない世界。
切ないけれど、確かな愛があるならそれでいい。みたいな。

最後に「home」の描き下ろし「feel at home」は執筆で忙しい辰巳にいつだって構って欲しい澄晴。
でもそれは澄晴だけじゃなくて辰巳も一緒だとというお話。

ふたりの家の縁側でぽかぽか日向ぼっこしているような、温かな幸せをいただきました。